アンティーク着物の種類の一つに、「銘仙」という種類の織りで作った着物があります。
染めた糸を織って柄を作る、「絣(かすり)」という柄が特徴で、明治末期あたりから作られ始められ、大正時代には今で言うところのブームとなるくらいに流行ったそうです。
アンティーク着物は、アンティーク(古美術品・骨董品)というぐらいですから、作られてかなりの時間が経っている着物なので、個々の程度の差はあれど、生地が自然と劣化しているので、染み抜きやクリーニングをするにあたっては、現代の着物を扱う時よりも慎重に作業を行わなければなりません。
アンティーク着物は、染色が弱いものが多い
そんなアンティーク着物ですが、作られてからの年数が経っているというのもさることながら、保管状態があまり良くない(しまったままで何十年と経っている)場合が多く、シミなどのトラブルが起きていることが多いです。
また、染めの技術も発展途上だったこともあり、染色の定着や堅牢度が低いものも多く、水に濡れたりすると、簡単に着物の地や柄の色が滲んだり流れ出したりする場合があります。
このお着物は、アンティーク着物を扱うお店で購入されたご依頼者様が、そのお店の方に着物のお手入れ方法を尋ねたところ、中性洗剤を入れたぬるま湯で洗うと綺麗になると言われたとのことで、その通りにしたら全体的に色にじみが発生してしまったという事例です。
アンティーク着物は水に濡れると色が出ることが多い
先にお話したように、アンティーク着物は染色が弱いものが多いので、経年の汚れを落とそうとして水洗いしたくなる気持ちはよく分かるのですが、水に浸けると激しく色が流れ出す場合があるので、注意が必要です。
柄の部分の色を抜かないように、特殊な染み抜き方法で色移りのシミのみを部分的に染み抜きいたしました。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 15,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)