着物が濃い色の染色の場合、締めている帯にその色が移ってしまうということは、意外とよくあります。
特に藍染めの着物の場合、染めが特殊で色移りが起きやすいので、注意してもなってしまう時はなってしまうのですが、注意が必要です。
着物から帯への色移りの原因は、汗と摩擦
着物の色が帯に移ってシミになってしまう原因は、ほぼ全ての場合、汗による湿り気と締めた状態で動くことによる摩擦です。
メカニズムを説明すると、着物を着て汗をかくと、身体から出た汗が水分となって空気に触れにくい帯下に蒸発出来ずに留まり、その水分で湿った状態により、着物の染色の染料が緩み(滲み)だし、その染料が緩んだ状態の部分に帯が擦れて摩擦が起こった結果、帯の生地に着物の色が移るということです。
湿り気で染料が緩んだ状態の生地を別の生地にゴシゴシ擦りつけている状態ですから、それでは色移りが起きてもおかしくないですね。
この帯も、締めている時に濃い色の着物から色が移ってしまったという状態の事例です。
色移りは、基本的には色を抜かずに洗い流す
色移りを染み抜きする場合、色を抜くのではなく(時にはそうせざるを得ないこともありますが)、付いている色(染料)を薬剤の力で緩めて洗い流すという作業が必要になります。
抜いてしまう方法に比べると、色が完全に流れ落ちるまで同じ作業を繰り返す必要があるので、非常に手間のかかる作業となります。
かなり時間と手間がかかりましたが、ご着用に支障のない状態に直すことが出来ました。
【参考価格】画像部分の染み抜き 15,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)