シミというものは、かなり大きくざっくりと分けると、二種類に分かれます。
一つは、付いただけ(変化していない)シミ、もう一つは、付いて時間が経って変化してしまったシミ。
そして、当店もそうですが、変化していないシミと変化してしまったシミでは、シミ抜きの料金も変わってきます。
古くて濃い変色のシミ抜きの料金はなぜ高いのか?
お着物のシミのお見積りを出させていただいた時に、「え?!そんなにするんですか?」と驚かれてしまうことが時々あります。
特にこれまで着物をお手入れに出したことがない方は、見当もつかない方がほとんどではないかと思います。
当店は様々な事例でご依頼の目安となる参考価格を明示しておりますので、ぜひご参考にしていただければと思いますが、世の着物のお手入れを行うお店では、ほとんどのお店でシミ抜きの値段はブラックボックス化(実際に見てみないと概算も伝えてくれない)しているようです。
そんな高いと思われてしまうこともある古くて濃い変色シミのシミ抜きですが、料金が高くなるのは何故か?ということは、知る限りでは意外と語られてこなかったように思います。
着物の袖に古くて濃い変色シミが出ております。
このようなシミがたくさんある場合、必然的にシミ抜き料金も高くなってくるのですが、その理由として、変色したシミ、特に濃く変色しているシミは、作業の手間がかかることとリスクが高くなるという点があります。
シミを抜くのは全て手作業なので、手間がかかるほど料金が高くなる
シミ抜きというのは手間賃仕事ですので、手間がかかればかかるほど料金が高くなります。
古くて濃い変色シミというのは、手間を省いて無理に急いでシミ抜きを行うと、生地の損傷などが起こる可能性が高くなります。
変色シミというのは、変化したシミですので、変化する過程で生地にダメージを与えている場合が多い。
そして、変色したシミを抜くには化学薬品を反応させてシミの色素などを分解する必要があるので、生地に対して負担がかかる作業なんですね。
ですので、すでに変色でダメージを負っている生地に対してシミ抜き作業を行うというのは、非常に高度な技術と豊富な経験、そして手間を省かずにコツコツと愚直に作業を進める必要があるのです。
そのようなことから、単に付いているだけのシミに比べて、その手間は何倍、もしくは何十倍という手間とシミ抜きスキルの高度さが要求されるわけです。
実際にこの事例のシミも、それほど大きなシミではありませんが、付いただけのシミを抜く作業に比べると、数倍の手間と時間がかかっています。
手間と時間をかけて、生地を損傷させずにシミを抜くことが出来ました。、
【参考価格】画像部分のシミ抜き 5,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)