赤ワインのシミが付いたというトラブルは、着物に限らず洋服でもよくあるトラブルなのですが、基本的に水洗い(洗濯)が出来ない着物の方が、シミ抜きが必要になる場合が多いように思います。
ですが、巷のシミ抜きが出来ると謳っているお店でも、赤ワインのシミは落とせないと言われて断られてしまうことのも少なくないようです。
赤ワインのシミは色素を落とさなければ直せない
赤ワインは、当たり前ですが文字通り赤い色をしていますが、その赤い色の元になっているのは、ワイン用の葡萄の果皮の色になります。
その色素の名前を、アントシアニンと呼びます。
着物に赤ワインのシミが付いて、シミを落とそうとして洗濯された方はあまりいないと思いますが、洋服であれば洗濯で赤ワインのシミを落とそうとした方は結構いらっしゃるかと思います。
その時、お洗濯で赤ワインの色素のシミは落ちましたか?
おそらく、薄くはなっても落ちなかったという経験をされた方が圧倒的に多いのではないかと思います。
これは、赤ワインの色素であるアントシアニンが、洗剤を使って水洗いしただけでは落ちないからなんですね。
状況で言えば、衣類の生地が赤ワインの色素であるアントシアニンによって染まってしまった状態になります。
赤ワインの色素を抜くには、化学的に分解するしかない
ですので、シミ抜きにおいて赤ワインのシミを落とすには、適切な薬品を使って色素を化学的に分解するしか方法がないのです。
ここで、この話が前述したシミ抜き専門などを謳うお店でも赤ワインのシミが断られてしまうことがあるのは何故か?という話に繋がっていきます。
赤ワインのシミは色素を化学的に分解する必要があるとお伝えしましたが、薬品を使って色素を化学的に分解する場合、どうしても避けられないデメリットがあります。
それは、「色素を化学的に分解すると同時に、生地の染め色も抜けてしまう場合がある」ということです。
特に着物の染め色は、この薬品を使った化学的な色素の分解に対して弱い場合が非常に多く、赤ワインのシミを染み抜きするということは、生地の染め色も抜けてしまうことを前提に作業を行う必要があるので、高度な技術である色修正が出来ない店では、門前払いのように断らざるを得ないというのが真相になります。
これが、シミ抜きの専門を謳っていても多くの店で赤ワインのシミは落ちないと断られてしまう最大の理由となります。
お着物にしっかりと赤ワインのシミが付いております。
ご依頼者様は他店で断わられたわけではありませんが、もし他店様に相談されていたら、断れてしまった可能性が非常に高いと思います。
なをし屋では、色が抜けても高度な色修正で元に戻しますので、基本的に赤ワインの染み抜きはお断りしたことはありません(水の使えない生地や染色などの衣類を除く)
もし他店様で赤ワインのシミが断られてしまったら、諦めずにご相談くださればと思います。
このお着物も赤ワインの色素の化学的に分解で色が抜けるお品物でしたが、シミを落として色修正を行うことで、綺麗にシミを落とすことが出来ました。
【参考価格】画像部分のシミ抜き 20,000円程度(税別)(全体の染み抜きはお見積りとなります)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)