着物にもウール素材の物はあるのですが、近年は生産数も激減し、あまり流通していないようです(なをし屋店主は西陣ウールを一枚誂えております)
世の着物の染み抜き職人の多くは、日常の作業で着物以外の衣類の染み抜きをすることがほとんどなく、絹(シルク)以外の繊維はあまり扱ったことがないので、洋服の染み抜きは断られてしまうことが多いようです(洋服の染み抜きにはそれ用の資格が必要なのですが、それはまた別の話で)
着物のお手入れ職人は、洋服は不得手
特にウールやカシミヤなどの獣毛の類いの天然繊維は薬品に弱い性質があり、黄ばみのシミなどを無理に染み抜きすると、繊維が溶けて生地の脆化や穴が開いたりする事故のリスクがあります。
なをし屋は洋服の染み抜きにも長年の経験がありますので、ウールのお洋服の染み抜きも承っておりますが、それでもウール素材の変色シミは、繊維的に無理が出来ないという物理的理由から、お断りせざるを得ない場合もございます。
今回は、ウールのお洋服ですが、シミが小さかったのとテストでかなり薄く出来たので、お引き受けさせていただきました。
ウールの染み抜きにはコツと経験が必要
シミは濃ければ濃いほど残りやすくなるのですが、ウールのような変色したシミを抜く染み抜き剤に弱い繊維の場合、その傾向が更に強くなります。
今回は、慎重に染み抜きしてギリギリまでシミを薄くして、色修正で周りと馴染むように仕上げました。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 3,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)