正式なお茶席では、着物は制服のようなもので、参加するには必ず正装として着用しなければならないと決められています。
ですが、お茶席というぐらいですから、熱いお湯で点てたお抹茶をいただかなくてはなりませんし、お世話をする方も常に水(湯)を使ったり、お茶に合わせる餡や練り切りを使った和菓子も出たりしますので、お茶席はお着物を汚してしまう危険に満ちています。
今回ご紹介する染み抜き・クリーニング事例も、お茶席で茶碗に入ったお抹茶をひっくり返してしまい、お着物に大量に抹茶のシミが付いてしまったという事例です。
抹茶のシミは、プロによる最初の染み抜きが肝心
抹茶のシミは、お湯に溶けたお茶の成分のシミもあるのですが、それよりも、粉末状の茶葉が生地に付いて乾いた状態となっていますので、通常のシミの染み抜きとはちょっと違う手順でアプローチをする必要があります。
粉末状の茶葉は固形物ですから、まずはその固形物を今以上に溶かして生地に染み込まないようにしながら、最大限落とせるところまで落としてしまうのが肝心となります。
この最初の作業で限界までしっかりと粉末状の抹茶を落としておかないと、次の段階の染み抜き作業を頑張っても、抹茶の色素のシミが残る可能性が高くなってしまいます。
固形物の状態の時に落とせるだけ落としておかないと、次の段階の染み抜きの時に、溶け出したお茶の成分が生地を染めてしまい、染まった色素を落とさなければシミが残った状態になってしまうからです。
抹茶のシミは、プロに任せないと落ちないシミになります
ですので、抹茶のシミに限った話ではないのですが、シミが付いた時に無理に自己流の染み抜きを行うと、綺麗に落ちたはずのシミも落ちきらないシミになってしまう可能性が高くなりますので、くれぐれも無理な自己流染み抜きはせずに信頼出来るプロにお任せいただければと思います。
時間はかかりましたが、コツコツと固形物となった抹茶を限界まで落としてから色素のシミを落とす地道な作業の繰り返しにより、綺麗に落とすことが出来ました。
抹茶のシミが付いたら、とにかく擦ったり水をかけたりせず、慌てずに水分を乾かす程度にしておいて、あとは染み抜きのプロにお任せください。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 25,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)