絹で作られた着物は、絹の性質として水に濡れて乾くとその形のシミになるという性質があります。

何かの飛沫が飛んだ程度であれば、部分的な染み抜きで直せるのですが、例えば大雨に降られて着物の全体に雨の水シミが出来てしまった場合、染み抜き作業もかなり広範囲に行う必要が出てきます。

雨に降られた水シミは、範囲が広いシミになる

絹の着物が水に濡れると、高確率で濡れた形のシミになります。

その理由につきましては、こちらの記事をご覧ください⇨絹の着物に水が付いたら輪ジミになる理由

雨というのは、無数の水滴が空から落ちてきますので、パラパラと降る程度であれば見た目にはそれほど分からないシミで済む場合もあるのですが、しっかりと降っている雨に濡れた場合、短時間でも雨に濡れた部分が点々と水シミになりますし、長時間であれば、着物全体が濡れて広範囲の水シミになります。

範囲が広くなるということは、当然のことながら、染み抜きの範囲も広くなるので、手間賃仕事である染み抜き料金も高めになる場合が多いです。

 

着物の雨に濡れたシミ 染み抜き・クリーニング前

 

画像では分かりにくいと思いますが、着物の肩の部分が大雨に降られて多数の水シミになっています。

雨のシミや水シミは、クリーニング(丸洗い)ではほぼ落ちません

「雨に濡れたので丸洗い(クリーニング)してください」というお話をいただくことが時々ありますが、丸洗いでは雨のシミは取れません。

これは、プロである我々なら当たり前に知っていることなのですが、一般の方は知らないor誤解している方も多いと思います。

依頼される方が「雨のシミを染み抜きして欲しい」とお店に伝えれば、ちゃんとしたお店なら丸洗いだけではなく染み抜きも行って雨のシミを取ってくれるはずなんですが、いい加減というか知識がなくプロ意識が低いお店の場合、お客さんの言葉通りにクリーニングだけをして、シミが全く落ちなくてもクリーニングの代金を請求するという、お客さんにとっては何のために依頼したのか分からないという非常に残念な結果になることがあります。

このお着物も、とあるお店に雨染みを取ってもらうように依頼されたそうなのですが、雨のシミは全く落ちずに、クリーニング代金を支払ったとのことでした。

雨に濡れたシミの場合、水に濡れたことにより着物の染色が滲んでいる場合もあり、そのような状態のシミになっている場合、染み抜きで落ちきらないこともあるので、単に雨に濡れただけと思っておられる場合でも、実際にお着物を拝見してからの診断になるということをお伝えしております。

 

着物の雨に濡れたシミ 染み抜き・クリーニング後

 

かなり手間はかかりましたが、全体の雨のシミを染み抜きして綺麗にいたしました。

【参考価格】画像部分とそれ以外の全体的な染み抜き 50,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表