常々お話させていただいておりますが、普段着る機会が少ない着物、つまりは冠婚葬祭や何かの行事や節目がないと着ることがほぼない着物というのは、タンスなどの収納場所にしまったままで何十年そのままということが珍しくありません。

しまったままの期間が長期になるということは、カビや変色シミのトラブルが起きても、それに気づくのが遅くなるということになります。

シミは、時間が経てば経つほど濃い変色シミになる

これも常々お話させていただいていることですが、シミというものは、付いてすぐには変化しない(ヘアカラーなどの特殊なシミを除く)のですが、適切な染み抜きをせずに付いたままで何年何十年と経つと、変化していき、多くの場合は濃い変色シミに変化していきます。

このシミの変色のメカニズムですが、最初は薄い変色シミが、さらに年月が経つとより濃い変色シミに変化していき、行き着くところまで行くと変化が止まるようになります。

ただ、見た目の変化が止まっても、生地に与えるダメージは止まらないので、濃い変色シミを何十年も放っておくと、今度は生地そのものを弱らせて、生地に穴や破れを引き起こす状態になります。

このようなことから、シミを見つけたら早めに適切な処置をしておくことが、大事なお着物を守るための鉄則となります。

 

七歳祝い着物 古い変色シミ 染み抜き・クリーニング前

 

七歳用の祝い着に、かなり濃い変色シミが出ております。

濃い変色シミは、生地へのダメージが相当なものに

これぐらい濃い変色になりますと、生地に与えているダメージも相当なものになりますので、染み抜きを行う前の段階で生地の劣化の危険性を認識した上での作業工程の構築が必要となります。

どのような薬品を使うか?や、どのような染み抜き方法か?を具体的にお話することは出来ないのですが、伝統と最新の技術を融合させた、極力生地に負担をかけずにゆっくりとシミを薄くしていく、なをし屋独自のシミ抜き方法を用いました。

 

七歳祝い着物 古い変色シミ 染み抜き・クリーニング後

 

かなり時間はかかりましたが、慎重に少しずつシミを薄くしていき、さらに色修正を行い、周囲の色と同じにしてシミを分からない状態に直しました。

【参考価格】画像部分のシミ抜き 30,000円程度(税別)(全体の染み抜きの料金はお見積りとなります)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表