シミの大小に関わらず、血液のシミのご相談は一年を通して意外と?多いのですが、他店様で落とせると言われたのに落とせなかったというご相談も結構あるシミとなります。

染み抜きしたと嘘をつく店がある

今回ご依頼いただいた血液のシミは、着物の中に着る長襦袢に付いたシミなのですが、他店様で丸洗いのキャンペーンをしていたところに持ち込んでご相談されたところ、完全には落ちないと思うが、(丸洗いで)だいたい気にならないぐらいには落とせるだろう、という診断だったので、その言葉を信じてそのお店に依頼したところ、全く落ちずに丸洗いの料金を請求されて返されたという事例です。

 

長襦袢に付いた血液のシミ 染み抜き・クリーニング前

 

当店は染み抜きを専門としておりますプロが代表を務めており、実際の作業も行いますので、シミの状態を一目見れば、そのシミが染み抜きを試みたのかどうかはだいたい分かります。

今回ご依頼いただいたこの血液のシミについては、一目で染み抜きのたぐいは全く行われていないと判断出来る状態でした。

血液のシミは丸洗いでは落ちない

この長襦袢を洗ったお店は、丸洗いである程度は落ちるという話をしたようですが、この点はプロとしてはっきりと断言出来るのですが、丸洗い(ドライクリーニング)では血液のシミは全く落ちません。

シミがちょっと薄くなることもありません、全く落ちることはないのです。

さらに言えば、染み抜きを行わずに丸洗いをしてアイロン仕上げを行うと、そのアイロンの熱によって、血液中のタンパク質が凝固し、余計なことを何もせずに適切な染み抜きを行えば綺麗に落とせたはずの血液のシミが、非常に落ちにくい(時には落としきれない)シミに変化してしまうこともあります。

このような話を聞く度に、プロの基準っていったい何だろう?といつも思います。

なをし屋店主が思うプロの基準、それには様々な面があるので一言で言い表すことは出来ませんが、今回のようなケースでのプロの基準とは、自身で経験したことを正確に話し、分からないことは分からないと言えること、ではないかと思います。

お客様にとっては、店を構えて看板を上げていればそれはプロのお店になりますし、その店の技術・経験・知識のレベルがどれくらいなのか?を推し量ることは難しいです。

だからこそ、プロを名乗るのであれば、少なくとも事実にそぐわないような内容で集客をして商いをすることは許されないことだと思います。

これは自身への戒めとしても、常に心に留めていることです。

 

長襦袢に付いた血液のシミ 染み抜き・クリーニング後

 

丸洗いでアイロン仕上げをされていたので、どこまで落とせるかが心配だったのですが、時間をかけて染み抜きすることで、綺麗に落とすことが出来ました。

血液のシミが付いた場合は、洗いなどに出さずにきちんと染み抜きしてくれるお店に染み抜きに出すのが、一番綺麗にシミを落とせることを覚えておいていただければと思います。

【参考価格】画像部分のシミ 裏表で10,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表