モンクレール(MONCLER)という有名ブランドがあります。
ダウンジャケットが特に有名みたいなんですが、結構お高いです。 普通に20万円とかします。
そんなモンクレールのダウンジャケットですが、染み抜きやクリーニングで色々とトラブルがあったり、お店によってはクリーニングを断られてしまうこともあるようです。
その理由の一つに、モンクレールは偽物が非常に多く流通しており、正規品のクオリティには及ばない偽物を、洗濯表示通りに洗っても、何らかのトラブルが起こってしまうことがあるからなんですね。
私はモンクレールは持っておりませんが、これから買おうと思っている方は、必ず正規代理店や百貨店などで正規品を購入しましょうね。
ダウンジャケットは染み抜きが難しい
そんなモンクレールのダウンジャケットですが、モンクレールに限らず、ダウンジャケットは染み抜きが難しい場合が多いです。
まず、表面の生地がだいたいポリエステルかナイロンのどちらかに分かれるのですが、ナイロンは薬品に弱い性質があり、ポリエステルはある程度薬品に強いものの、油性の染み抜きをすると輪染みやムラが出やすいという性質があります(出ないものもあります)
また、ダウンジャケットというぐらいですので、中に保温のための羽毛(ダウンやフェザーなど)が入っており、その羽毛も薬品には強くない性質があります。
また、縫い合わせた生地の中に羽毛が入って分厚くなっているが故に、通常の衣類の生地のような表から裏を通して汚れを洗い流すというのが物理的に難しいので、染み抜き作業自体の効果が出にくいアイテムでもあります。
なをし屋でもダウンジャケットの染み抜きのご相談は衣類の中でも比較的多いのですが、上記のような理由から綿のシャツなどに比べて出来ない染み抜きも多いので、お断りせざるを得ない場合もあります
何年ご着用になられたかは不明ですが、モンクレールのダウンジャケットの衿の内側、常に頭のうなじに当たる部分が黄色く変色しております。
ご依頼者様は男性ですので、これらの汚れの原因は、汗や皮脂によるものと考えて間違いないかと思います。
ナイロン生地はあまり強い染み抜きが出来ない
モンクレールのダウンジャケットの生地はナイロン生地が多いのですが、ナイロンはあまり薬品に強くないので、強い黄ばみの染み抜き効果のある薬品は使えません。
あまり強い薬品を使うと、生地が変化してしまうんですね。
ナイロンにも使える黄ばみ抜きの薬品もあるのですが、そのナイロンにも使える薬品は羽毛には使えないという制限があり、ナイロン+ダウン(羽毛)という組み合わせの今回のご依頼品には使えません。
染み抜きテストを行った結果、汚れを繰り返し落とすことで現状よりもかなり黄ばんだ汚れを落とすことが出来ると分かりました。
ですが、汚れの黄ばみは落とすことが出来ても、変色してしまった黄ばみは落とせないので、やはり黄ばみが多少残ってしまいます。
そこで、ご依頼者様にその旨をお伝えし、染み抜き後に特殊な顔料(不透明な彩色材料)を使って、黄ばみを出来るだけ目立たなくする方法をご提案させていただき、ご了承いただきましたので、その方法で仕上げさせていただきました。
顔料を使った修正における注意点として、
- 顔料を吹き付けることによって、若干の生地の硬さやザラつきのような変化が起こる
- 不透明な彩色材料なので、修正部分の艶が変化する
このようなことが確実に起こりますので、柔らかい生地などの場合は、何をゴール(シミを落とすことか?風合いを変えないことか?など)にするのかを明確にして、ご依頼者様にご了承いただいての作業が肝心となります。
今回の場合、若干の生地のザラつきが出ましたが、作業前と比べてかなり黄ばみや汚れを改善して目立たなく出来たかと思います。
今回のお品物は白でしたが、他の色のお品物も顔料を使っての修正は可能です。
ただ、お色目によっては顔料では再現出来ない色合いもございますので、MONCLERダウンジャケットの衿の黄ばみや変色などでお困りでしたら、一度当店までご相談くださいませ。診断お見積りさせていただきます。
【参考価格】画像部分の汚れと黄ばみの染み抜き・顔料による色修正 20,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)