マニキュア、多くの女性は馴染みがあるかと思いますが、爪に塗った物を除去する時は、除光液という専用の溶剤(薬剤)を使って落とすのですが、除光液を使ったことがある方はお分かりかと思うのですが、かなり強い臭気を放つ溶剤です。

なをし屋は本物の職人が営む染み抜きを専門としている全国でも数少ない店ですが、染み抜きを専門としている職人は、染み抜きに使う多くの薬品を持っています。

染み抜き剤は、臭いが強いものほど強力な傾向がある

なをし屋では、きっちり数えたことがないのではっきりとした数は不明ですが、おそらく、染み抜きに使う溶剤や薬品類を、常時50種類くらいは保管しています。

そんな染み抜きに使う溶剤や薬品類ですが、絶対というわけではないのですが、多くの傾向として、効果が高い(強い)ものほど、その臭気が強い傾向があります。

もっとくだけて言うと、「シミを強力に落とせる溶剤や薬品ほど臭い」、ということになります。

先ほどの話に戻りますが、マニキュアを落とすには除光液という臭い溶剤を使う必要があるというお話をさせていただきました。

臭い溶剤であるということは、比較的強力な溶剤を使用しているということになるのですが、着物や衣類にマニキュアのシミが付いた場合、実は除光液では落とせません(薄っすらと付いた程度であれば落ちる場合もあります)

強力な溶剤である除光液でも落とせないマニキュアのシミ、ではどうやって染み抜きをすれば落とせるのでしょうか?

マニキュアのシミを落とせる店は、全国でも数少ない

実際に全国で調査したわけではないので断言は出来ないのですが、染み抜きの職人として三十年以上の経験がある私の肌感といたしましては、マニキュアのシミが落とせる店は全国でも数少ないと思われます。

その理由としては、先ほどからの話にあるように、マニキュアのシミは強力な溶剤を使わないと落ちないというのがあるのですが、強力な溶剤や薬品は、シミだけではなく生地に対する攻撃力も高いので、使い方や作業方法を間違えると、生地や染色を傷めてしまうリスクが高くなるので、多くの店は面倒くさい 失敗を恐れて、マニキュアのシミのような高度な技術・知識・経験を必要とする儲からない 難易度の高いシミにチャレンジしようとはしません。

 

着物に付いたマニキュアのシミ 染み抜き前

 

ちりめん生地の着物の上前身頃に、広範囲にマニキュアのシミが付いております。

ご依頼者様からの情報によりますと、どうやらマニキュアの入った瓶を落として?、中身を大量に零してしまったようで、マニキュアが生地の裏にまで浸透して、カチカチのシミになっていました。

先にお話したように、マニキュアのシミは非常に落とすのが難しく、このシミもご依頼者様が他店に相談されたところ、生地が傷んでいる可能性が高いので染み抜き出来ないと断られたそうです。

このような特殊なシミの場合、シミが落ちるかどうかをテストしてから、生地を傷めずに染み抜き出来るか? 染み抜きで染めの色が極端に抜けないか? 着用に支障がないレベルにまでシミが落とせるか?などを総合的に判断して、お見積り金額も含めてご依頼者様にお伝えしてご了承いただいてからの作業となります。

今回のシミの場合は、「かなり落ちにくく難易度も高いシミであるが、着用に支障ないレベルには落とせると思う」という診断結果とお見積りをお伝えしてご了承いただいたので、正式にご依頼となりました。

 

着物に付いたマニキュアのシミ 染み抜き後

 

事前の予想通りかなり手間がかかる難易度の高い染み抜きでしたが、何とか見た目に分からないくらいにシミを綺麗に落とすことが出来ました。

【参考価格】画像部分のマニキュアのシミの染み抜き・色修正 30,000~40,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

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