スカーフは、絹(シルク)の生地で作られていることが多いのですが、シルクで作られているということは、染色も絹(シルク)用の染料を使っておりますので、染めた生地として考えれば、着物との類似点は非常に多いです。
そしてお着物を着られる方はやはりお洒落な方が多いので、インポート物の高級ブランドのスカーフをお持ちの方が多い印象があります。
シルク(絹)製品は、丈夫であり繊細
シルクという素材は、ある面では丈夫と言えますし、ある面では繊細とも言えます。
丈夫な面としては、薬品に強いという面があります。
綿や麻に比べると劣る部分もあるのですが、強い漂白の薬品などにも、元々生地が劣化しているようなことでなければ、比較的強い耐性を持っています。
これが絹の着物の黄変・変色シミが直せる理由です。
一方、繊細な面としては、濡れた・湿った状態での摩擦に非常に弱いという面があります。
ですので、特に生地の薄いインポート物のシルクの製品を雑に扱うと、容易に生地が擦れて表面に細かい毛羽立ちを起こします。
表面の毛羽立ちが起こると、角度を変えて見るとその部分が白化して見えるようになります。
軽度の毛羽立ちであれば、毛羽立ちを抑えて色修正を行うことでだいたい気にならない状態に直せることもありますが、重度の毛羽立ちを起こしている場合、修正しても白化して見える状態が残ることになります。
着物の染み抜き技術でシルク製品も直す
着物の多くは絹で出来ておりますので、着物の染み抜きに長けている職人は、他の絹製品の染み抜きにも長けています。
ですので、スカーフなどのシルク製品は、同じシルク製品である着物を多く扱っているお店の方が、染み抜きやクリーニングのノウハウを持っていると言えるでしょう。
このCHANELのスカーフは、今は亡きお母様がご愛用されていたお品物ということで、何とか使えるようにして欲しいというご依頼でした。
先述したように、インポート物のシルクの製品は生地や染色が繊細な物が多く、雑に扱うと容易に生地や染色が傷むことがありますが、なをし屋は着物の染み抜き技術でお洋服なども染み抜きいたしますので、繊細なお品物でも問題ございません。
黄ばみを抜いて、周囲の自然な生成り色に合わせて色修正を行いました。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 10,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)