絞り染めの着物は、専門店を謳うお店であっても染み抜きを断られてしまう着物の1位、2位を争うのではないかと思います(なをし屋調べ)
なぜかと言うと、その他の染色方法の着物と比較して、以下に上げるようないくつかの理由で染み抜きが難しい面があります。
絞りの着物の染み抜きが断られてしまう理由
何故絞り染めの染み抜きが難しいかと言うと、シミを抜く時には着物の地色や柄の色が抜けてしまうことがほとんどなんですが、絞り染めの場合は特に色が抜けやすい物が多く、さらに絞り特有の柄の複雑さなどのあり、色修正があまり得意でないお店ですと、「これは絞りなので染み抜き出来ません」と、断られてしまうことが多いんですね。
ちょっと話はズレますが、他店で断られた品物を直した時に、必要以上に声高にそのことを自慢するお店がありますが、私は、これは(うちでは)出来ないと断るお店は、ある意味誠実だと思ってるんですよね。
もちろん、お客さんからしたら、本当は直せる(お店がある)物を直らないと断られるのは悲しいことですよね。
でも、出来ない物を出来ると言って無茶をして着物をダメにしてしまうお店よりは、出来ない物は出来ないとはっきり断るお店の方が、その着物が救われるチャンスが残るわけです。
ですので、なをし屋のように「他店で断られた物も承る」ことを謳うお店が存在するわけです。
話を戻して、このお着物は、総絞りの柄のお着物ですが、大きく変色したシミが出ていました。
絞りのシミは、色修正が必須になる
染み抜きを行うと、当然地の色も抜けてしまうので、その後の色修正のことも考えて慎重に染み抜き作業を行う必要があります。
極力柄の色を抜かないように染み抜きを行い、周囲と馴染むように色修正を行いました。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 30,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)