なをし屋代表・栗田裕史が着物業界の末席に名を連ねるようになって四半世紀以上経ちますが、着物離れという言葉を見聞きするようになって、もう随分と経ったように思います。
確かに、日常で着物を着る方は減っているようにも思いますが、一方でリサイクル着物を中心にイベントなどがなくても普段から着物を着る若い方も多くおられます。
お祝い事で着物を着る方はまだまだ多い
また、何かのお祝い事やハレの日などに着物を着るという方は、若い年齢層の方でもたくさんいらっしゃいます。
赤ちゃんが産まれてから行うお祝い事である、お宮参りもその一つです。
なをし屋にご依頼をいただく場合は、赤ちゃんのご両親のどちらかがご自身のお宮参りや七五三で着た着物を使いたいというご要望が非常に多く、そこにはやはりお金や利便性の前に「想い」を何とかしたいというお気持ちを強く感じます。
このお宮参りのお着物も、ご自身が使われたお着物を産まれてくるご子息のために使いたいということで、ご依頼をいただきました。
変色したシミの修正には原則があります。
シミは濃ければ濃いほど残りやすい
その原則とは、「シミが濃ければ濃いほど染み抜き後にシミは残りやすくなり、生地の色が薄ければ薄いほど、染み抜き跡を消すのが難しくなる」
これはどういうことかと言いますと、生地の染色にある程度の濃さがある場合、シミの黄ばみが残っていても、その上から色修正を施し、シミを隠しつつ周囲の色と馴染ませることが出来るのです(色目が濃すぎてもまた難しいのですが、それはまた別の機会にお話しします)
ですので、今回のお品物のようにほぼ白い色のお着物の場合、シミが残ればほぼそのまま残ってしまうということになります(白い染料というのは存在しないため)
生地を傷めないように負担をかけずにじっくりと染み抜き作業を行い、周囲の生成り色とほぼ同じくらいにまでシミを抜くことが出来ました。
あとは、染み抜きした際に綺麗になりすぎた部分を周囲と馴染むように部分的な染色を行い、仕上げていきます。
染み抜き前を知らなければ、まずそこに濃く大きなシミがあったとは気づかないレベルに修復いたしました。
お子様用のお着物は生地があまり丈夫でないことがほとんどで、染み抜きで無理が出来ない場合も多いのですが、全く何も出来ない場合は稀ですので、まずはお気軽にご相談をいただければと思います。
なをし屋がそのお着物への想いも一緒に救います。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 15,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)