着物を着ている時に、自身で気をつけていても、他の誰かにシミを付けられて汚してしまうということは、意外とあるものです。
特によくあるのが、飲食店などでサービスをするお店の方が、お料理や飲み物を運んだりサーブする時に誤ってお客さんの着物(に限りませんが)に料理や飲み物をこぼしてしまってシミになってしまったというパターン。
着物にシミが付いたら、してはいけないこと
大切な着物にシミが付いてしまったら、絶対にしてはいけないことがあります。
それは、「慌ててシミの部分を擦ること」
着物に限らず着ている衣類にシミが付くと、とにかく何とかしなきゃ・・・!と思って、ついつい何かで擦ってシミを取ろうとしていまいがちです。
ところが、着物に主に使われている絹(シルク)の生地は、濡れた(湿った)状態で擦ると、生地の表面がいとも簡単に毛羽立ち(スレ)を起こしてしまいます。
特に飲食をしている時であれば、飲食店が提供するおしぼりで拭いてしまうこともあると思いますが、これは絶対に避けてください。
お店の方が慌てておしぼりで拭こうとしても、断固として毅然と断ってください。
シミが付いても、慌てておしぼりで拭くのは絶対にやめてください
おしぼりで着物を拭くと、何が問題なのか?
まず、先にお話したように、湿った状態で着物を擦ると、生地の表面が毛羽立ってしまうので、その問題。
これは着物お手入れのプロの方でも気づいていない方もいますが、もう一つの問題は、飲食店のリサイクルをするタオル地のおしぼりは、工場で強力な漂白処理をしているという問題。
飲食店でタオル地のおしぼりを受け取ったとき、何となく化学的な匂いを感じることはないですか?
それは、おしぼりを漂白剤に浸けて汚れを漂白しているからなんですね。
匂いを感じるということは、僅かであってもその漂白剤の成分が残留している可能性があるということです。
そんな漂白剤の成分が含まれているおしぼりで着物をゴシゴシ擦ったりしたら、生地の毛羽立ちだけでなく、染色の脱色や変色が起こってしまうリスクがあります。
ですので、着物を着ていて飲食物のシミが付いたときは、とにかく慌てずに、付いている固形物や水分を清潔な布に移し取るぐらいにとどめておいてください。
このシミは、着物を着て食事をしている時にお店の方に料理のソースをこぼされてシミになったという状態です。
お客さんがご自分で水で濡らして叩いた結果、シミが元の状態よりも大きく拡がっていた状態でした。
ただ、擦ってはおられなかったようで、気になるような生地の表面の毛羽立ちは起きていませんでした。
適切な染み抜き処理を行った結果、跡形もなく綺麗にすることが出来ました。
【参考価格】画像部分の染み抜き 10,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)