ある日のこと、慌てた様子でお客様よりお電話でのご相談をいただきました。
「着物を着て汗をかいたら、ヘアカラーのような黒い汚れが衿についてしまった!何とかなりますか?」とのご相談。
汚れが付いたと思われる時の状況をお伺いして、ひとまずお着物を拝見して診断させていただくことをお約束いたしました。
ヘアカラーをして時間が経っても色が移ることがある
以前にも、全く同じような状況で衿にヘアカラーと思われる汚れが付いたお着物をお預かりさせていただいたことがあるのですが、その時も、お客様はヘアカラーをしているものの、直後ではなく、美容室で施術後に何日も経っていて、着物を着るまでに洗髪も繰り返していたということです。
普通に考えれば、ヘアカラーをして時間が経って洗髪も繰り返していれば、衣服にヘアカラーの色が移ることは考えにくいのですが、そのお客様も今回のお客様も、ヘアマニキュアなどは使用してしないというお話でしたので、原因を消去法で推察すると、やはりヘアカラーの色が何らかの原因で着物の衿に付いたとしか考えられない状況でした。
着物の衿には、主に皮脂やお化粧(ファンデーション)の汚れが付きますが、このお着物の襟に付いた黒い汚れは、そのどちらとも異なるものでした。
シミの原因を消去法で考えると、やはりヘアカラーが原因としか考えられない・・・という結論に達しました。
殆どの場合、ヘアカラーは非常に落ちにくいシミになる
ヘアカラーのシミは非常に落ちにくいシミで、時には落ちきらないシミなのですが、実際にシミを見て付いた時の状況から判断すると、生地に染み込んではおらず、表面に付いている状態だと診断いたしましたので、お客様には「おそらく、ほとんど分からない状態に直せると思います」とお伝えしたところ、心から安堵されたご様子でした。
お約束通り、綺麗に落とすことが出来ました。
【参考価格】画像部分の染み抜き 12,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)