アンティーク着物 染み抜き跡の変色シミ

アンティーク着物という物がありまして、どれぐらい古ければアンティーク着物と呼ぶのか?ということには諸説ありますが、個人的には、戦前の着物は全てアンティーク着物で良いのではないかと思います。

そして今は昭和はとっくに過ぎて平成を越えて令和の時代ですから、戦後に作られた着物であっても。昭和三十年代くらいまでの着物はもうアンティーク着物で良いのではないかと思っています。

そのような前置きを踏まえまして、今回の染み抜き事例のお着物は、おそらく戦後の昭和三十年代くらいに作られた着物ですので、個人的な価値観においてアンティーク着物と呼称させていただきます。

 

アンティーク着物 古い変色シミ 染み抜き前

 

着物の上前衽(左前の一番外側部分)に、古く濃い変色シミが出ております。

そしてこのシミなのですが、画像を拡大して見ると分かるのですが、過去にシミを隠そうとして柄を足した跡が残っています。

 

アンティーク着物 古い変色シミ 染み抜き前

 

よく見ると、柄の葉っぱの質感や色合いが微妙に違うことに気づかれるかと思います。

そして、足した柄部分にシミが出ていることから、このシミは単なるシミではなく、染み抜き作業で薬品を使った際の中和と洗浄が不十分なことから残留した薬品が経年変化を起こし、このような変色シミになった可能性が高いシミとなります。

そのような性質のシミの場合、薬品による変化が考えられますので、通常の変色シミよりも生地にダメージを与えている可能性が高くなりますので、シミを抜くことに注力しすぎて無理をすると、生地の損傷などが起こるリスクが高くなります。

ですので、このようなシミの場合は、通常のシミ抜きよりも生地に出来るだけ負荷をかけないように作業を行う必要があります。

 

アンティーク着物 古い変色シミ 染み抜き前

 

よーく見ると薄っすら残っている部分もありますが、生地のダメージを考えて無理し過ぎないように仕上げました。ご着用には支障がない状態には直せたかと思います。

【参考価格】画像部分のみの染み抜き 15,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)