クリーニング屋さんの為の着物悉皆講座その2
ところで皆さんは、「悉皆(しっかい)」もしくは「悉皆屋」という言葉はご存知でしょうか?
悉皆屋の意味を調べてみると、「江戸時代、大坂で染め物・洗い張りなどの注文を取り、京都の専門店に取り次ぐことを業とした者。転じて、染め物や洗い張りを職業とする人。」(デジタル大辞泉より)と書いてあります。
悉皆という職業は、元々、誂えの染め物や汚れたり古くなった着物のメンテナンスや再生の差配を生業としてきたのですが、洋装化を始めとするライフスタイルの大きな変化などで年々数が減少していき、今では一般の方にはあまり馴染みのない職業となってしまいました。
明治以前の日本では、着物だけが衣類でしたので、悉皆屋さんが活躍していた訳ですが、洋装化が進んだ現在でも、着物を楽しまれたり、何かの節目などに着用される方は多くいらっしゃいますし、洋服や革製品なども、近年のエコロジカルな観点から、使い捨てではなく、気に入った物は長く使いたいという意識が、消費者の間に高まっています。かつて、着物のメンテナンス全般は、悉皆屋さんが請け負っていました。ですが、その数が大幅に減少し、着物を着たくても着用後のことを任せられるお店が無いが故に、着物を楽しむことを諦めてしまわれる方が少なくありません。
洋服や革製品などはどうでしょうか?お気に入りの物を大事にしたいと思っていても、汚れや色褪せなどを直してまた使えるようにしてくれるお店が無いので、諦めてしまう方が大勢いらっしゃいます。
当店では、そのような方のご依頼を全国から受け付けておりますが、所詮小さな店のやることですから、全ての方のお役に立てるようなことは不可能です。
では、何かよい解決策は無いのでしょうか?
私は、あると思っています。 それは、全国のクリーニング店様が、現代の悉皆屋さんになることです。