ガード(撥水)加工の機械類

着物や帯などのガード(撥水)加工についてと料金表

着物を雨などの水滴から守って水ジミを防いでくれるガード加工ですが、「絹にガード加工をして通気性が悪くならないのか?」、「ガード加工をすると風合いが変わると聞いた」、「ガード加工をすると染め替えが出来なくなる?」といったような不安の声をお聞きすることがあります。

また、「ガード加工をすると着物は汚れないのか?」、「ガード加工をすると液体なら何でも弾いてくれるのか?」といったようなご質問をいただくこともあります。

それらの疑問や質問にお答えすると共に、着物のガード(撥水)加工のメリット・デメリットについてお話いたします。

着物にガード(撥水)加工をしたら、通気性が悪くなるか?

この疑問についてですが、絹の着物の生地は元々が糸の密度を高く織ってあるので、絽などの夏物を除けば、あまり空気は通りません。

そして、ガード加工は、生地の目を埋めるのではなく、糸自体に水を弾く作用を付与するので、生地の表面が水分を弾くようになっています(だから、防水ではなく撥水加工)

ただ、生地が水分を吸わなくなるので、汗をかいた時に汗を吸わない分、通気性が悪くなったと感じることはあるかと思います。

ガード(撥水)加工で着物の風合いは変わるか?

この疑問についてですが、大きく変わるわけではないが、ほんの僅かには変化するというのが結論になります。

私は、きっちり数えたことはないですが、おそらく年間1,000枚くらいの着物を手にとって作業を行っています。

その数多くの着物は、ガード加工をしている物としていない物がありますが、ガード加工をしている着物は、していない着物と比べると、ほんの僅かに手触りが違うのを感じます。

ただ、その違いは着心地を左右するようなものではなく、常に多くの着物を触っているからこそ感じる違いであって、一般の方はまず気づかないレベルの違いだと思います。

ですので、ガード加工を行うにあたっては、風合いの変化は特に心配しなくても良いと言えます。

着物にガード(撥水)加工をすると、染め替えが出来なくなる?

この疑問についてですが、結論から言うと、着物にガード加工をしても、染め替えは可能です。

ただし、それには染める前のガード抜きという加工が別途必要になります。

また、ガード抜きがうまくいかない場合も稀にありますので、絶対に大丈夫とは言えないのが正直なところです。

色無地などで将来染め替える可能性が高いお着物は、ガード加工を行わない方が無難かもしれません。

着物にガード(撥水)加工をすると、何が付いても着物は汚れない?

この質問についてですが、結論から言うと、答えはノーです。

ガード加工は、水分は弾いてくれるので、突然の雨や冷たい飲み物のシミなどは防いでくれますが、その他の汚れを防ぐ力はありません。

特に油分を含んだ汚れはガード加工をしてあっても染み込むので、シミになります。

また、液体についても、熱い液体は浸透してしまうので、シミになります。

ガード加工で防げる物は、雨と冷たい飲み物ぐらいと覚えておいてください。

ガード加工で汗シミは防げるか?

ガード加工で汗が着物に染み込むことは防げるか?というご質問も良くいただきますが、結論から申しますと、「汗をかいた具合による」というのが結論になります。

汗は水分ですので、ガード加工がしてある着物の場合、基本的には浸透を防いでくれるのですが、汗をかいた時は体温で温められた汗の水分が着物に付きますので、その温度の関係などでガード加工で防ぎきれずに生地に汗が浸透してしまう場合があります。

また、着物の表地はガード加工していても裏地(胴裏)はしていないことが多いので、表地は大丈夫でも裏地は汗じみがべったりということも少なくなりません。

以上のようなことから、ガード加工をしている着物などでも、汗をかいたら汗抜きは行った方が良いかと思います。

丸洗い(クリーニング)するとガード加工は落ちるのか?

ガード加工した着物や帯などをクリーニング(丸洗い)で洗った場合、ガード加工の効力が落ちるのか?というご質問も良くいただきます。

こちらも結論から申しますと、「効果がなくなることは無いが、多少弱まることはある」というのが結論になります。

丸洗いやクリーニングに使う石油系溶剤は、ガード加工の樹脂に対しても浸透いたしますので、洗いをしたことでガード加工が流れる可能性はゼロではありません。

ですので、丸洗いでガード加工の効力が若干落ちる可能性はあるのですが、なをし屋店主の長年の経験から申しますと、丸洗い(クリーニング)を行うことで、効力を感じられなくなるほどに落ちたことはないです。

また、ガード加工は熱を加えることで効力がある程度復活しますので、クリーニング後のアイロン仕上げ(プレス仕上げ)によってもある程度効力が戻ります。

ただ、ガード加工も年々効力が落ちていきますので、経年ですでにガード加工の効力が落ちていた物を洗った場合、撥水効果が感じられないぐらいに効力が落ちてしまうことは稀にあります。

着物をガード(撥水)加工するメリット・デメリット

メリット

  1. 水分を弾くので、突然の雨や飲み物をこぼした際にシミになりにくい。
  2. ガード加工をしていない着物に比べてシミが浸透しにくいので、シミ抜きで綺麗になりやすい。
  3. 飲食のお仕事で着物を着る方には、メンテナンス性を考えるとほぼ必須の加工。

デメリット

  1. 染め替えをする場合、染め工賃の他にガード抜き加工の料金がかかる。物によっては稀にうまく染め替え出来ない場合がある。
  2. 水分を弾くが万能ではないし、汚れも防げる物と防げない物がある。ガード加工をすれば着物は汚れないと喧伝する小売店もあるようだが、知識不足の認識不足。

このように、着物のガード(撥水)加工には利点や欠点がありますので、必要かどうか?をお考えになってからお決めになられた方が良いかと思います。

着物などのガード(撥水加工)の料金表

着物や帯などをガード加工した場合の料金表です(仕立て上がり品のガード加工の料金です。クリーニングやシワを伸ばすプレス仕上げは別途規定の料金がかかります)(表にない小物などはお問い合わせください)

【品名】【価格】
振袖12,100円
留袖(ヒヨク付)13,200円
留袖(ヒヨクなし)11,000円
訪問着・附下げ11,000円
小紋・色無地・喪服11,000円
単衣着物9,900円
羽織・道行コート9,900円
長襦袢9,900円
7,700円
(汚れがある着物をそのままガード加工すると、シミや全体の汚れがコーティングされて落ちなくなってしまうため、ガード加工を行う際は、基本的には染み抜きとクリーニングをセットで承っております)
(ガード加工のみで承ることも可能ですが、その場合はシワはそのままでのお返しとなります)