補正しみ落とし薬品 (染色補正作業の薬品材料)
∇ベンジンソープ
性状: ペースト状、油性。
用途: 主にドライ用。汚れ落しに用いられ、油煙・手垢・泥はね・機械油汚れ・衿垢・着用後の汚れなど、油性の汚れ全般にベンジンと併用して用いられている。
ベンジンソープの主原料は、オレイン酸・アンモニア水・アルコールであり、アンモニア水は揮発し易く、ソープは元の高級脂肪酸となり、高級脂肪酸は経日変化して、繊維の変色の原因ともなり、ベンジンソープ使用には、充分な認識と適正な取り扱いをすべきであり、生地にソープが残留しない工夫を必要とする。
∇ゲンブクリンC
液体で主にドライ用で、垢汚れなど汚れ落しに使用。
∇スカットル
黄味の粘りのある液体で、溶剤と界面活性剤との混合液で水溶性でもある。
油汚れ・鉄サビ・ゴム物質・インク・マジックインキ・ペンキ・朱肉の汚れ等に効果。
∇ウルトラソープ
ペースト状でベンジンソープと同類。プロセス紋落しに効果的で、酢酸アミル・シンナーと併用。
∇シミレスレット
無色の液体で、水溶性と油溶性の二種類があり、ドライなどで落ちにくい、ウール・化繊・絹などのマジックインキ、油性ボールペン、コールタール、ガム、泥はね、セメダイン落しに効果的。
∇流動パラフィン
無色の油臭のある粘り液体で、主にスレ直しに使用。
∇ソフナー
白色の液体で、水溶性のエマルジョン。スレ直しに使用。刷毛か布刷くが、主として浸漬法に用いる
∇セロール
透明の液体で水溶性のスレ直し剤。スレが戻らず、色物も黒ずむこともない。
原液を5倍に薄めて用いる。
∇スポッターA
液体でフッ化水素とシュウ酸の混合液で、鉄サビの除去、黄変・アクジミ落しに使用。
フッ化水素が原料であり、皮膚からの浸透に注意。金通し・銀通しの生地に使用の場合は、充分認識して適正な取り扱いをする。 サビクリンも同様の扱いをする。
∇蛋白分解酵素
タガーゼP-1000・タガーゼR-1000・ネオコーソ・ハイラーゼP-1000・ハイラーゼS・ハイラーゼL・プロチン・ビオプラーゼ・鳥糞・細菌プロアテーゼ。
血液ジミ・卵白・カゼイン・豆汁・肉ジミなど蛋白質にも動物性・植物性があり、そのシミに適した蛋白質分解酵素を適正な使用温度・方法にもとづいて使うべきで、多くの種類があり適正な選択を求められる。
基本的な考え方として、安易な塗布に頼るのではなく、必要量の湯水とその酵素に適した温度の維持が蛋白質ジミを落とすバロメーターとなる。
∇澱粉分解酵素
ネオプライマーゼ(液)(粉末)、コーソ200、プロアターゼA1000・P1000、ラクトーゼ。
でんぷんの除去は、蛋白質の除去とは比較にならないほど技術的にも楽な作業であり、殆どが浸漬法によりブラッシングする事で容易に落とす事が出来る。
でんぷん分解酵素にも、細菌酵素、麦芽酵素とは最適温度が異なるように、その種類の適正な使用法を認識すること。
∇リルカット
液体で合成樹脂落としに用いる。
∇カラーアップBL
黒紋付などで深色加工した生地汚をシミ落しして光沢が消えたり、白けた所の復元に適し、色艶を出す。
∇アンコールセット
スプレー式の深色加工した生地の光沢を復元する艶出し剤で、効果がある。
※参考文献 「染色補正の技術・技法」 京都染色補正工業協同組合 著